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尾道と荒木村重

かつて安土桃山時代に道糞という茶人がいた。

この道糞は自らを道に転がった犬の糞みたいなものだと自分を疎んじて、自らをこう名付けた男である。

尾道に西郷寺という「時宗」の寺がある。この男はこの寺に住みながら「茶の湯」だけは忘れずに「敗る身」を「残月」を眺めながら暮らしていたのである。

尾道の人は優しかった。尾道は「駆け落ちした人」「戦に敗れた人」「人生の戦いに疲れた人」をそっと抱きかかえた街である。そしてこの人達がこの尾道の街の中で生きる力を得ていくと、そっと去っていく街でもある。

この男「道糞」はかつて織田信長に取り立てられ、明智光秀、豊臣秀吉に並ぶ武将であった。摂津(大阪)城主でもある。

しかし彼は、本願寺(浄土宗)攻略の最前線の武将でありながら、心変わりして信長に背き、「毛利」と手を組んだのである。

信長は信頼していた部下の叛意が信じられず、何度も問い直してようやく信じたが、それでももう一度「許す」と使者を送ったほどである。明智光秀が叛逆する前の、最初の大規模な叛乱であり、信長と本願寺との戦いの大事な時であり、信長の戦略が大きく綻んだきっかけになったのである。

どうも、この男の反逆の真意がよくつかめないのだが、作家、遠藤周作は名作「反逆」でこの経緯を書いている。

どうしても帰参しないと判断した時の信長は厳しい。直ちに全軍挙げてこの荒木村重を打ち滅ぼしたのである。

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